
玄関でのつまずきを、運動を始める合図に
収穫した野菜を抱えたまま玄関の段差でつまずいたーー。そんな経験をきっかけに、足元のふらつきが気になり始めた方に向けた記事です。膝に違和感がある方でも、椅子や安定した支えを活用しながら、自宅で無理なく取り組める運動があります。適切な回数の目安や運動を控えるべき症状、玄関から畑までの移動経路の見直し方など、安全に取り組むためのポイントを分かりやすく紹介します。まずは無理のない範囲から始め、自分のペースで続けることが大切です
この記事の要点まとめ
- 椅子からの立ち座り、固定された支えにつかまる足踏み、室内の短い歩行を少ない量から始めます。
- 膝や体調に合わせて運動量を調整し、強い痛みや腫れ、胸の痛みや強い息切れがあれば中止して相談します。
- 玄関や畑までの段差・照明・通路を見直し、荷物は両手が空く方法で運ぶ工夫も取り入れます。
高齢者の転倒予防に、筋力とバランスの運動が役立つ理由
転倒は、脚の筋力や、崩れかけた姿勢を立て直す力、歩行能力など、複数の要素の衰えが重なって起こります1。そのため、どれか一つだけを鍛えればよい、という単純な話ではありません。
立ち上がりや歩き出しの不安定さに目を向ける
椅子から立ち上がる際に机や膝に手をつくようになった、歩き始めの一歩目がふらつく、段差でつま先が引っかかる。こうした変化は、脚の筋力やバランス能力の低下に気づくための身近なサインです1。地域で暮らす65歳以上の方のうち、少なくとも3人に1人が1年に1回以上転倒するとされています2。
確認のために、支えのない状態で片脚立ちを試す必要はありません。特に一人でいるときは、ふらついた際に転倒する危険があるため、無理に試さないようにしましょう。
運動の変化は日々の動作で確かめる
カレンダーに「立ち座りが楽だったか」「今日つまずいたか」を○や△で書き込むだけでも、自分の変化が見えてきます。週末に訪れるご家族と一緒に見返すのもよい方法です。
研究をまとめた報告では、筋力だけでなく、バランスや歩行に働きかける運動を含むプログラムで転倒の発生が少ない傾向が示されています32。ただし、運動だけで転倒をすべて防げるわけではありません。住まいの環境や体調とあわせて考えていきましょう。
自宅で始める転倒予防運動――椅子と支えを使う方法

ここでは、目的に応じた3つの運動を紹介します。いずれも少ない回数から始め、体調に合わせて無理なく調整しましょう。自宅で行う筋力トレーニングとバランス運動を組み合わせたプログラムは、海外でも研究が進められています4。
運動によって、筋肉痛や膝・腰の痛みの一時的な悪化、翌日まで続く疲労、運動中のふらつきなどが生じることがあります24。こうした症状が現れた場合は、運動量を減らすか中止し、続くようなら医師やセラピストに相談してください。
脚の筋力には、安定した椅子からの立ち座り
肘掛けのある、動かない椅子を壁際に置きます。浅めに腰かけて足を少し手前に引き、おじぎをするように上体を前へ傾けてから立ち上がります。座るときは、お尻を後ろへ引きながらゆっくり下ろしましょう。必要なら肘掛けに手をついてかまいません。
目安は5回を1〜2セット、週2〜3日から。膝に張りを感じた日は回数を減らし、翌日の様子を見て続け方を決めます2。
ふらつきには、固定された支えにつかまる足踏み
台所のシンクや固定された手すりなど、体重をかけてもぐらつかない場所を両手で持ちます。その場で足を小さく交互に上げる足踏みを10回ほど。慣れてきたら、足を上げる高さを少しだけ上げてみます。
転倒予防の研究では、バランス能力に適度な負荷をかける運動をすることが重要な要素とされています3。ただし、最初から支えなしで片脚立ちをする必要はありません。安全を優先し、疲れを感じる前に運動を切り上げましょう4。
歩く力には、片づいた室内での短い歩行
廊下や居間の通り道から、マットや電気コードを片づけます。かかとが覆われ、足に合った室内履きを選びましょう。
最初は5分程度、休憩を挟みながらで十分です。速さや時間を競う必要はありません。慣れてきたら、歩く時間を少し延ばす、実施する日を1日増やすといった形で、ゆるやかに増やしていきます12。
膝に違和感がある日は、運動量をどう決める?
膝の状態に応じて、運動の負荷を「軽くする」「控える」「医師に相談する」の3つに分けて考えます。持病のある方や転倒したあとの方は、自己判断で運動の負荷を増やさないようにしてください2。
軽い違和感なら、立ち座りの回数や膝の曲げ方を控えめに
座面にクッションを置いて膝の曲がりを浅くする、運動の回数を半分に減らす、その日は足踏みだけにするなど、状態に合わせて調整しながら様子を見ましょう。運動中や翌日に痛みなどの症状が強まったときは、運動の内容や量を見直すサインです。1。
強い膝の痛みや腫れがあるときは運動を控える
膝が熱を持っている、腫れている、体重をかけにくい。転んだあとから痛む場合も同様です。このようなときは運動を控え、医師に相談しましょう15。
胸の痛みや強い息切れが出たら、その場で中止する
胸の痛み、会話ができないほどの息切れ、めまい、意識が遠のく感じが出たら、すぐに運動をやめて座るか横になります。症状が強い、あるいは治まらない場合は、速やかに医療機関を受診してください15。
運動とあわせて見直したい玄関・畑への動線
玄関の段差と畑までの足元を見直す
段差の縁に目立つ色のテープを貼る、足元を照らす照明をつけるだけでも、段差の位置がつかみやすくなります。畑へ続く道の石や農具は脇に寄せておきましょう。
長靴やサンダルは、かかとが浮かず滑りにくいものを選びます。収穫した野菜は背負いかごや手押し車で運び、両手をふさがないことが段差での備えになります。手すりの設置は、要支援・要介護認定などの条件を満たせば、介護保険の住宅改修費の支給対象となる場合があります。市の介護保険の窓口や地域の高齢者向け相談窓口に確認してみてください5。
玉名市で膝の違和感や転びやすさを相談するとき
つまずく回数が増えた、膝の違和感が続く、転倒後に痛みが残る。こうした状態は、整形外科に相談する目安になります1。骨折して寝たきりになることへの不安があれば、診察の際にそのまま伝えてください。当院に限らず、骨粗鬆症が気になる場合は、骨密度検査希望を受診先の医師に相談してください。当院の院長は骨折や変形性関節症の診療に携わるなかで予防の視点を大切にしております。当院でも骨密度検査は受診できますのでお気軽にお問い合わせください。
当院では診察予約はWEBまたはLINEで受け付けております、ご予約なしでも受付時間内にご来院頂ければ受診できます。当院のホームページをご参照ください。
よくある質問
Q. 片脚立ちの運動は膝に負担をかけませんか?
A. 支えのない片脚立ちは、ふらついたときに膝をひねる心配があります。まずは固定された支えを両手で持つ足踏みから始め、片脚立ちを取り入れるかどうかは医師やセラピストに相談しましょう。
Q. 「予防業務」とは何ですか?
A. 転倒や要介護状態を未然に防ぐための取り組みを指すことが多く、自治体では介護予防教室や体操動画の公開などが行われています。お住まいの市町村の介護予防の窓口に問い合わせると、身近な教室や体操を案内してもらえる場合があります。
Q. 運動は毎日したほうがよいですか?
A. 毎日でなくてもかまいません。立ち座りなどの筋力運動は週2〜3日から始め、膝や体の疲れ具合を見て日数を調整しましょう。
Q. 保険のリハビリと保険外のリハビリは何が違いますか?
A. 保険診療のリハビリには、1回の時間や算定できる期間に上限があります。平山整形外科医院では、セラピストが60分間個別に対応するプライベートリハビリを設けています。こちらは公的医療保険が適用されない自由診療です。内容は、症状改善リハビリ・スポーツのパフォーマンス向上・ゴルフ特化型リハビリ・再生医療後のリハビリになります。目的に合わせた継続的な運動指導や施術が可能です。詳しくは当院へお気軽にお問い合わせください。
参考文献
1. 厚生労働省「健康づくりサポートネット(疾病・健康に関する情報)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/
2. Sherrington C, Fairhall NJ, Wallbank GK, et al. Exercise for preventing falls in older people living in the community. Cochrane Database of Systematic Reviews. 2019. PMID: 30703272 / DOI: 10.1002/14651858.CD012424.pub2
3. Sherrington C, Michaleff ZA, Fairhall N, et al. Exercise to prevent falls in older adults: an updated systematic review and meta-analysis. British Journal of Sports Medicine. 2017. PMID: 27707740 / DOI: 10.1136/bjsports-2016-096547
4. Yang Y, Wang K, Liu H, et al. The impact of Otago exercise programme on the prevention of falls in older adult: A systematic review. Frontiers in Public Health. 2022. PMID: 36339194 / DOI: 10.3389/fpubh.2022.953593
5. 厚生労働省 公式サイト https://www.mhlw.go.jp/
2000年 熊本大学教育学部付属中学校卒業
2003年 熊本県立玉名高等学校卒業
2010年 福岡大学医学部医学科卒業
2010年 宮崎県立延岡病院
2011年 熊本大学医学部付属病院
2012年 熊本大学整形外科入局
2012年 熊本大学医学部付属病院整形外科
2013年 熊本市民病院整形外科
2014年 水俣市立総合医療センター整形外科
2015年 山鹿市民医療センター整形外科
2017年 公立玉名中央病院整形外科
2020年 平山整形外科医院開院
日本整形外科学会認定リハビリテーション医
日本整形外科学会認定スポーツ医
日本整形外科学会認定リウマチ医
身体障害者福祉法第15条指定医
あわせて読みたい関連記事
