
関節の負担と筋力低下の関係を知り、無理のない一歩から
運動不足で太ももやお尻の筋肉の力が落ちると、立ち上がりや歩くときの衝撃を筋肉で受け止めきれず、膝の関節に負担が集まりやすくなります。ただし、膝のこわばりや重さは筋肉の衰えだけでなく、関節そのものの病気が関係している場合もあります。この記事では、関節に負担がかかるしくみや原因の調べ方、毎日のくらしに合わせた無理のない運動の始め方と受診の目安をお伝えします。
この記事の要点まとめ
- 太ももやお尻の筋力低下で膝に負担が集まりやすく、違和感には関節の病気が関係する場合もあります。
- 運動前に膝の状態を確認し、立ち上がりや短時間の歩行を、日々の活動量に合わせて少しずつ始めます。
- 痛みや腫れが続く場合は運動を控えて整形外科に相談し、診断や通院頻度に応じた運動方法を検討します。
- 運動不足で膝の関節に負担が増える仕組みと、それだけでは説明できない症状
- 体を動かす習慣は、診断と続けたい日常生活から考えて無理なく始める
- 痛みや腫れが出たときの中止の目安と、整形外科へ相談するタイミング
- よくある質問(FAQ)
- 参考文献
- 監修
運動不足で膝の関節に負担が増える仕組みと、それだけでは説明できない症状

膝のこわばりや動きの変化も相談の対象です
当院では、強い痛みが出ていなくても、身体の動かしにくさや普段と異なる違和感があれば、ご相談いただけます。長時間座ったあとの立ち上がりに感じるこわばりや、階段を上る際の膝の重さなども、身体の状態を確認するサインの一つです。「まだ我慢できるから」と放置せず、気になる変化があれば早めにご相談ください。小さな違和感の段階で状態を確認することが、日常生活での動作を見直すきっかけになります。
太ももの筋力が落ちると、立ち上がりや階段で膝に負担が集まりやすい理由
関節の痛みや違和感は、運動不足による筋力の低下や、関節の柔軟性が失われることが一因となる場合があります。座り仕事や車での移動が多い生活では、太ももの前側にある大腿四頭筋やお尻の筋肉を使う機会が少なくなりがちです。普段あまり体を動かさない状態で、週末に掃除や布団の上げ下ろしなどをまとめて行うと、膝を支える筋力が十分に働かず、関節への負担が大きくなることがあります。
運動不足だけでは説明できない膝の症状もあります
膝の重さやこわばりは、筋力低下だけで起きるとは限りません。軟骨がすり減る変形性膝関節症や、半月板・靭帯の損傷、関節内の炎症など、別の要因で似た症状が出ることもあります。「年齢や運動不足のせい」と自己判断して急にウォーキングや筋力トレーニングを増やすと、かえって関節痛を強めることがあるため注意が必要です。
運動不足と決めつけず、症状に応じて原因を調べます
当院では、症状に合わせて透視機能付きX線装置、エコー(超音波の検査)、院内のオープンMRIなどを使って原因を調べます。せまい所が苦手な方にも配慮したオープンMRIを備えており、CTの検査が要るときは連携している病院へご紹介しています。すべての検査を同じように行うのではなく、膝や股関節、腰のようすに合わせて要る検査を選びます。
ポイント
膝の違和感は運動不足による筋力低下だけでなく、関節の病気が隠れていることもあるため、運動を増やす前に原因を確かめておきましょう。
体を動かす習慣は、診断と続けたい日常生活から考えて無理なく始める
運動指導や治療は、診断した病態に合わせて考えます
当院では、診断した病態に合わせ、薬、注射、ストレッチや運動指導、物理療法、リハビリなどを組み合わせます。体を動かすことは関節を支えるうえで役立ちますが、数ある選択肢の一つです。人工股関節や人工膝関節の手術後にも、昨日の回復を目指してリハビリが行われます。ただし、手術後の方と手術を受けていない方では、適切な運動の進め方が異なります。まずは関節内の炎症や傷みの程度を確かめ、その時点での膝の状態に合わせて、無理なのない順序で治療を進めていきます。
運動量そのものより、続けたい日常生活を目標に
当院では、痛みの軽減だけでなく、日常生活の自立やスポーツでの動作、ご本人が希望する生活の実現もリハビリの目標として大切にしています。運動の目標は、単に「毎日何千歩歩くか」といった数値だけではありません。仕事を続けることや、ご家族の通院に付き添うこと、買い物に出かけることなど、これまでどおり自分の足で日々の生活を送れる状態を維持することも、大切な目標の一つです。
椅子からの立ち上がりと短時間の歩行は「物足りない量」から始める
関節に負担をかけにくい運動として、変形性膝関節症の方などでも太ももの前側やお尻の筋肉を鍛える動きや短時間の歩行が取り入れられます。短い時間の歩行から始めると、こわばりやすい関節を動かすきっかけになります。最初は机や手すりに手を添えた椅子からの立ち上がりを5回程度、または仕事の合間や買い物ついでの5〜10分ほどの歩行など、「少し物足りない」と感じる量から始めるのが目安です。翌日に膝の重さや痛みが出ないかを確認しながら、少しずつ回数を調整します。ただし、痛みが強い場合や医師の診断を受けている場合は、指示された内容に従ってください。
介助や家事が多い日は、生活の動作も運動量に数えて調整する
ふとんの上げ下ろしや掃除、ご家族の手助けや付き添いで長く歩いた日は、それだけで膝をたくさん使っています。「くらしの動き」と「健康のための運動」を分けずに、1日の合わせた負担として考えることが大切です。
| その日の生活状況 | 関節にかかる負荷の目安 | 追加で行う運動の調整方法 |
|---|---|---|
| デスクワークと車移動が中心の日 | 少ない(関節がこわばりやすい) | 仕事の合間に数分歩く、椅子からの立ち上がりを数回行う |
| 買い物や軽い家事がある日 | 中程度 | 体操の回数を半分にする、またはストレッチのみにする |
| 布団の上げ下ろし・掃除・付き添いが多い日 | 高い(膝への負担が集中しやすい) | 追加の歩行や筋トレは休み、膝を休めることを優先する |
このように日によって活動量が異なる場合は、負担の大きい家事を週末だけにまとめず平日に小分けにするなど、1週間単位で負荷をならしていく工夫も役立ちます。
痛みや腫れが出たときの中止の目安と、整形外科へ相談するタイミング
運動を中止して様子を見るべき痛み・腫れ・熱感のサイン
体を動かしたあとに次のような変化が見られた場合は、その運動が今の膝には強すぎるサインです。無理に続けず、いったん中止して様子を見てください。
- 動かしている最中や直後に、膝の痛みが強まる
- 運動の翌日まで、膝の重さや痛みが残っている
一方、次のような変化は、半月板や靭帯の傷み、関節の中の炎症のサインのこともあります。様子を見るだけにせず、整形外科を受診してください。
- 膝が腫れぼったい、または触ると熱をもっている
- 曲げ伸ばしの途中で引っかかる感じや、急に力が抜ける感覚がある
階段で膝が痛い・こわばりが続くときは整形外科への相談を
運動を控えて数日休んでも違和感が続く場合や、階段の昇り降り・椅子からの立ち上がりで膝が痛い場面が増えてきたときは、整形外科へご相談ください。家事やご家族の付き添いに支障が出始める前や、「自分の膝の状態で運動を始めてよいか迷う」という段階で受診していただくことで、関節の状態に合った方針を立てやすくなります。
セラピストによる運動器リハビリという支援
当院は330平方メートル以上の広さがあるリハビリ室を備えており、セラピストによる運動器リハビリと、機器を使った物理療法を提供しています。運動器のリハビリテーションでは、脚の筋力運動など、膝の状態に合わせていくつかの方法が取り入れられます。ただし、対象となる病気や条件が限られており、すべての患者さんに同じ結果が得られるわけではありません。一般的には関節可動域訓練や下肢の筋力トレーニング、歩行練習などを組み合わせ、継続して通院する進め方がとられますが、具体的な運動の内容や期間・回数は医師の診察結果やご本人の状態をもとに確認していきます。
なお、保険でのリハビリには、病気ごとに受けられる日数のかぎりや回数の決まりがあります。その範囲を超えて続けたいときなどには、ひとつの選び方として自費リハビリ(自由診療・公的医療保険の対象外)という方法もあります。
- 内容・期間・回数の目安:理学療法士が1対1でストレッチや筋力づくり、動きの指導などを続けて行う進め方がみられます(どのくらいの期間や回数かは、状態によって変わります)。
- 費用について:自由診療のため全額自己負担となります。一般的には、費用は内容や時間によって異なり、受診時に説明を受けます。
- 主なリスク・副作用:運動をやりすぎると、筋肉や腱、骨などを痛めたり、疲れがたまりすぎたりして、かえって体をこわしてしまうことがあります。
仕事や家族の通院で通える回数が限られる場合に伝えておきたいこと
仕事やご家族の介護・通院の付き添いがあり、頻繁に通院するのが難しい方も少なくありません。玉名市の当院へご相談いただく際は、あらかじめ「平日の勤務日や通える頻度」「膝がこわばる・重くなる具体的な場面」「これからも続けたい家事や付き添いの動作」を診察時にお伝えください。一般的には、通院回数が限られる場合は自宅でできる運動指導を中心にする進め方もあります。まずはお気軽にご相談ください。
ポイント
翌日まで残る痛みや腫れがあれば運動を控え、通院できる頻度や続けたい生活動作を医師に伝えて無理のない対策を相談しましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 落ちた筋力はどのくらいで戻りますか?
筋力の回復にかかる期間には個人差があり、年齢や普段の運動量、関節の痛みの有無などによって異なります。短期間で大きな変化が現れるものではないため、まずは膝に痛みが出ない程度の軽い運動から始め、時間をかけて少しずつ体を慣らしながら、段階的に負荷を高めていくことが大切です。回復までの見通しや適切な運動量については、医師に相談しながら進めましょう。
Q. 骨粗鬆症があると、背中の痛みや膝の負担に関係しますか?
A. 骨粗鬆症が進んで背骨に小さな骨折(椎体骨折)が起きると、背中や腰の痛み、背が低くなる、背中が丸くなるといった変化につながることがあります。姿勢が変わると体の重心がずれ、歩くときに膝や股関節にかかる負担が増えるもとにもなります。当院では腰の骨と太ももの付け根の骨を測るDEXA法での骨密度の測定と採血を組み合わせて調べていますので、背中に違和感がある方もあわせてご相談ください。
Q. 転倒した直後は歩けたのに、2日(48時間)ほど経ってから痛みが出るのはなぜですか?
A. 転倒や尻もちの直後は緊張や興奮によって痛みを感じにくかったり、時間の経過とともに打撲部位や関節の周囲でじわじわと炎症・腫れが広がったりすることがあります。また、レントゲンでは写りにくい微細な骨折や骨挫傷が隠れている場合もあります。歩けるからと放置せず、数日経っても痛みが続く場合は整形外科での診察をおすすめします。
Q. 玉名市の平山整形外科医院を受診する際、予約は必要ですか?
A. 予約なしでも診察は可能ですが、来院された順番でのご案内となります。WEB予約またはLINEからのご予約をご利用いただくと、待ち時間を少なくご案内できます。なお、受付窓口やお電話での診察予約は承っておりませんので、事前のWEB予約をご活用ください。
参考文献
2000年 熊本大学教育学部付属中学校卒業
2003年 熊本県立玉名高等学校卒業
2010年 福岡大学医学部医学科卒業
2010年 宮崎県立延岡病院
2011年 熊本大学医学部付属病院
2012年 熊本大学整形外科入局
2012年 熊本大学医学部付属病院整形外科
2013年 熊本市民病院整形外科
2014年 水俣市立総合医療センター整形外科
2015年 山鹿市民医療センター整形外科
2017年 公立玉名中央病院整形外科
2020年 平山整形外科医院開院
日本整形外科学会認定リハビリテーション医
日本整形外科学会認定スポーツ医
日本整形外科学会認定リウマチ医
身体障害者福祉法第15条指定医
