
集団での運動に物足りなさを感じた方へ
「みんなと同じ体操で、自分の腰や膝に合っているのだろうか」「聞きたいことがあっても切り出しにくい」。そんな理由から運動を中断された方は少なくありません。この記事では、セラピストがマンツーマンで行うリハビリの評価から運動の組み立て、経過確認までの流れを、受診前の判断材料として整理します。
この記事の要点まとめ
- マンツーマンリハビリでは関節可動域や筋力バランスなど身体状況を個別に確認します
- 生活動作や仕事内容に合わせ、セラピストが運動内容を組み立てていきます
- 保険診療と自費リハビリは時間や体制が異なり、事前確認が判断の材料になります
集団での運動とマンツーマンリハビリの違いとは?個別対応ならではの強み
集団での体操には、始めやすさや継続のきっかけになるという良さがあります。ただ、メニューは全員共通が基本。腰と膝に違和感を抱える方が、健康維持を目的とした方と同じ内容を行えば、「これは自分の身体に合っているのだろうか」という疑問が残っても不思議ではありません。セラピストが専任で関わるマンツーマンリハビリは、その疑問に一つずつ向き合いながら進みます。
個々の関節可動域や筋力バランスを細かく確認する身体評価
リハビリテーション医療では、身体機能を多面的に評価したうえで方針を組み立てる考え方が基本とされています2。マンツーマンの場では、股関節や膝の曲がり具合、足首の柔らかさ、体幹を支える力、左右差などを順に確認していきます。
たとえば膝に違和感がある場合も、要因が膝そのものにあるとは限りません。股関節の動きが乏しい、片脚で立つと骨盤が傾く——そんな別の部位の状態が関わっていることもあります。画一的な運動では気づきにくい「その方だけの動きの癖」を確認しやすい点が、個別評価の意義です。当院ではエコーやMRI、DEXAによる骨密度測定といった検査も組み合わせ、医師の診察内容とリハビリの視点をすり合わせながら状態を整理しています。
農作業や家事動作など生活背景に直結した運動処方の組み立て
評価の次は、生活に合わせた運動の組み立てです。診療ガイドラインでも、運動療法は個々の状態や生活状況を踏まえて選択することが重視されています1。
果樹園での中腰作業、脚立の昇り降り、収穫かごの持ち上げ、台所での立ち仕事。身体へのかかり方は、それぞれまったく違います。中腰が続く方には股関節から曲げる動作の練習を、重い物を扱う機会が多い方には体幹を支える内容を——という具合に、実際の動作を再現しながら調整していきます。「収穫期までに畑仕事の負担を軽くしたい」といったご希望があれば、そこから逆算して内容を検討することもできます。
セラピストによるマンツーマンリハビリの具体的な進め方と手順

「どんなことをするのか分からない」という気がかりは、流れを知るだけで少し和らぐものです。整形外科の外来で行う運動器リハビリテーションは、おおむね次の順序で進みます。
問診と身体機能チェックによる痛みの根本要因の探索
まずは聞き取りから。いつから、どんな動作で違和感が出るのか。朝と夕方で変化はあるか。仕事量や睡眠の状況はどうか。リハビリテーション医学では、生活機能全体を捉える視点が重視されています2。
そのうえで、歩行の様子、しゃがみ込み、立ち上がり、片脚立ちなどを観察します。マンツーマンであれば、途中で「ここは痛みますか」と確認を挟みながら進められる点も特徴です。強い運動をいきなり課すことはなく、まずは現状を把握する時間として使います。
徒手療法と個別運動療法を組み合わせた施術の実施
評価の結果をもとに、硬さの目立つ筋肉や関節へセラピストが手で働きかけ、動かしやすい状態を整えてから運動へ移る——この流れが一般的です。順序を工夫することで、身体への負担が少ない進め方につながると考えられています1。
運動の中身は、体幹を支える練習、股関節まわりの筋力づくり、バランス練習など。必要に応じてエアロバイクやウォーターベッド、低周波治療器といった機器も併用します。当院ではSpineDynamics療法を主軸としたリハビリと運動機器を導入し、背骨や体幹の機能に着目した視点も取り入れています。
自宅で無理なく続けられるセルフトレーニング指導と経過観察
通院の時間だけで身体づくりが完結するわけではありません。そこで、自宅で行える自主練習を数種類に絞ってお伝えします。数が多いと続きにくいため、「朝の身支度前に2つだけ」といった現実的な量に調整するのがポイントです。
次回の来院時には、実施できたか、痛みの出方に変化はあったかを対話で確かめ、内容を組み替えます。この積み重ねこそ、マンツーマンならではの進め方といえます。
受診前に知っておきたい個別リハビリの選び方と確認事項
受診を検討する段階では、費用の仕組みと体制。この2点を押さえておくと判断しやすくなります。
医療保険適用の運動器リハビリテーションと自費リハビリの違い
医療保険による運動器リハビリテーションは、医師の診察と指示のもとで行う治療の一環です。一般的に1回20分程度、週1〜2回、発症や手術からの起算日を基準に150日という算定期間が設けられています。自己負担は保険の割合に応じて決まるため、費用を抑えながら継続しやすい仕組みといえます。
対して自費(保険外)のリハビリは、時間や目的の自由度が持ち味。当院では患者さまのお声から生まれた取り組みとして、理学療法士が60分専任で介入するプライベートリハビリを実施しています。「もっと時間をかけたい」「予防や競技力向上も相談したい」といった、保険の枠内では扱いにくいご要望に応える位置づけです。料金や適応については、診察時に受付・担当者へお尋ねください。なお、リハビリテーションの考え方や適応は診療ガイドライン等でも整理されています12。
担当制の有無や対話のしやすさを見極める判断基準
見学や初回相談の際に、確認しておきたいのは次の点です。
- 担当制かどうか:毎回同じ理学療法士が経過を追う体制だと、前回からの変化を共有しやすくなります
- 1回あたりの時間:20分枠か60分枠かで、実施できる内容が変わります
- 質問のしやすさ:疑問をその場で言葉にできる雰囲気かどうか
- 自宅指導の有無:セルフトレーニングの提案やフォローがあるか
- 他職種との連携:医師、看護師、作業療法士などと情報が共有されているか
当院は院長の方針として、リハビリテーションと骨粗鬆症の診療に力を入れており、330平米以上の広さのリハビリ室と各種機器を備えています。セラピストそれぞれに得意分野がありますので、目的に応じたご相談も可能です。「厳しい運動を求められるのでは」と気がかりな方も、まずは現在の状態を確認するところから始められます。
よくある質問
Q1. セラピストが行うリハビリの内容にはどんなものがありますか?
A. 関節の動きや筋力、バランス、歩行などを評価したうえで、運動療法や徒手的なアプローチ、日常動作の指導などを組み合わせます。必要に応じて物理療法機器も併用し、生活場面を想定した練習を行います。
Q2. 毎回同じセラピストに担当してもらえますか?
A. 施設によって体制はさまざまです。当院のプライベートリハビリは専任のセラピストが担当する形をとっています。保険診療でのリハビリについては予約状況などにより異なる場合がありますので、受付でご確認ください。
Q3. 運動が苦手でも受けられますか?
A. 現在の身体の状態を確認するところから始めますので、いきなり負荷の高い運動を行うことはありません。仕事量や生活リズムを伺いながら、無理のない範囲で内容を調整します。
参考文献
1. 公益財団法人 日本医療機能評価機構「Minds ガイドラインライブラリ」 https://minds.jcqhc.or.jp/
2. 公益社団法人 日本リハビリテーション医学会 https://www.jarm.or.jp/
2000年 熊本大学教育学部付属中学校卒業
2003年 熊本県立玉名高等学校卒業
2010年 福岡大学医学部医学科卒業
2010年 宮崎県立延岡病院
2011年 熊本大学医学部付属病院
2012年 熊本大学整形外科入局
2012年 熊本大学医学部付属病院整形外科
2013年 熊本市民病院整形外科
2014年 水俣市立総合医療センター整形外科
2015年 山鹿市民医療センター整形外科
2017年 公立玉名中央病院整形外科
2020年 平山整形外科医院開院
日本整形外科学会認定リハビリテーション医
日本整形外科学会認定スポーツ医
日本整形外科学会認定リウマチ医
身体障害者福祉法第15条指定医
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