疾患の概要
腰椎分離症(ようついぶんりしょう)は、腰の骨(腰椎)の後方部分に疲労骨折が生じる疾患です。特に10代のスポーツをしている成長期の子どもに多く発症し、腰の痛みを訴えて来院されるケースが増えています。
この疾患は、腰椎の「椎弓」という部分にひびが入り、進行すると骨が完全に分離してしまうこともあります。
主な症状は、運動時や腰を反らす動きでの腰痛で、特にスポーツの練習後に強く出る傾向があります。
主な原因と発症しやすいスポーツ
腰椎分離症の多くは、繰り返される腰へのストレスによって発生します。
- ジャンプや腰を反らす動作の反復
- 過度な練習によるオーバーユース
- 柔軟性不足や筋力バランスの崩れ
- 成長期に無理な負荷がかかること
特に発症しやすいスポーツには以下が挙げられます
- 野球(特に投手やバッターの回旋動作)
- サッカー(キック動作や急な方向転換)
- バレーボール(ジャンプやスパイク動作)
- 体操・新体操(腰の反りが強調される動き)
- テニス・バドミントン(素早い回旋・伸展)
- 柔道・空手などの格闘技
これらの競技では、繰り返し腰を使う動作が多く、腰椎に慢性的な負荷がかかるため注意が必要です。
治療法(整形外科での対応)
腰椎分離症の治療は、手術を行わない「保存療法」が基本となります。
整形外科では、以下のような治療が行われます。
① 画像検査による診断
X線、MRIなどを使い、骨の状態や炎症の有無を詳しく評価します。早期発見が回復の鍵です。
② コルセットによる安静
骨の自然治癒を促すために、3か月から6か月程度コルセットを装着して腰を安定させます。
③ 理学療法(リハビリ)
痛みの軽減だけでなく、再発予防やスポーツ復帰を見据えた運動療法を行います。
体幹のインナーマッスルの強化、柔軟性改善、姿勢・動作の修正が中心です。
症状の程度や骨の状態により、個別にリハビリプログラムを組み、段階的に機能回復を図ります。
特に、競技に復帰する際には、その動作に応じたトレーニングやフォームの指導が不可欠です。
まとめ
腰椎分離症は、早期発見・早期治療によって十分に回復が見込める疾患です。
痛みを我慢して無理に運動を続けると、再発や悪化につながります。
「腰が痛い」「動くと違和感がある」と感じたら、無理せず整形外科を受診し、適切な診断とリハビリを受けましょう。
将来も健康にスポーツや生活を楽しむために、今しっかりと治すことが大切です。